むしろ、バナジウムを1日数十ミリグラム摂取することで糖尿病の治療薬としての効果が期待されています。
しかし、長期にわたり過剰にバナジウムを摂取すると毒性症状を生じる可能性があることが報告されています。それは、バナジウムは容易にアミノ酸、ペプチド、タンパク質、酵素基質複合体、ヌクレオチド、炭水化物、ATPと結合し、それらの機能を阻害することによると考えられています。
そのため、カリフォルニア州の飲料水基準値では、天然水へのバナジウムの含有量を1リットルあたり50マイクログラムを上限としています。これは、人間の1日の水分摂取量の、約3リットルをすべて、バナジウム含有の天然水で摂った場合を想定しています。
そして、過剰摂取で懸念される毒性は産業粉塵を吸入するよりも高く、主な毒性作用としては、舌の色が紫または緑色に変色し、同時に、下痢、痙攣などの胃腸障害が起こる場合があります。
また、反射障害および神経筋の刺激・湿疹、皮膚炎・結膜炎、呼吸器の刺激、それにより生じる鼻炎、咽頭炎、慢性気管支炎、びまん性肺線維症などや、頻脈、躁鬱病・低血糖を生じることがあるとされています。
しかし、1日に3リットルものバナジウム含有天然水を日常的に摂ることはないと思われるため、多少バナジウム含有量が多い天然水を飲んだとしても過剰摂取の危険性は殆どないといえそうです。
また、過剰にバナジウムを摂取しても、大量のビタミンCを摂取することによって、バナジウムによって受けた脳や身体へのダメージを回復できるという報告があります。
ビタミンCはバナジウムの毒性を軽減するのですが、この仕組みはまだ解明されていません。
おそらく、ビタミンCがバナジウムに電子を与え、バナジウムの酸化状態を下げることによって、その毒性が軽減されると推測されます。
したがって、バナジウムは、長期的に過剰に摂取した場合、毒性が懸念されますが、例えば、一日に3〜5gのビタミンCを三回に分けて服用することで、バナジウムの毒性の影響から免れることができると考えられています。
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